
120年ぶりの民法改正が行われると話題になっています。
様々なジャンルの民法に改正があるようですが、ここでは賃貸住宅のインテリアに関わる民法の改正についてご紹介します。
賃貸住宅でインテリアに凝りたい場合、気になってくるのは「敷金」。
この敷金の定義が今回の民法改正で明文化されるようです。
(逆に定義されてなかったの?という感じもしますが)

じゃあ、今回の民法改正、住む側にとっていいの?悪いの?

はい、結論から言えば住む側が守られやすい改正です。
民法改正で敷金がどう定義されるのか?
今回の民法改正で敷金は、
「家賃の未払いや、経年劣化意外などで部屋を汚したり、傷つけたりしてしまった場合の原状回復費用を担保するためのお金」
という定義になりました。
改正後の民法では,これまでの実務に従い,敷金を「いかなる名目によるかを問わず, 賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的と する債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義しました。
http://www.moj.go.jp/content/001289628.pdf
その上で,判例に従い,賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債 務が生じること,その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除 した残額であることなどのルールを明確化しています。
基本的にはこれまでの敷金の考え方と変わらないわけですが、これまでは貸主が負担するべき費用に敷金が充てられてしまっているケースがあり、それが敷金トラブルとなっていたわけです。
ですから、要するに今回の民法改正で、敷金トラブルが起こりにくくなるわけですね。
敷金トラブルの例
では実際どのような敷金トラブルを回避できるようになるのでしょうか?
いくつか具体例を上げていきます。
賃貸契約の民法改正で無くなる敷金トラブル① 不当な壁紙の張り替え費用請求
経年による自然な壁紙の汚れなどは、張り替え費用を借主が負担する必要はありません。
冷蔵庫やテレビの裏の壁紙が黒ずんでしまう現象も借主の過失にはなりません。
ただ、後にも書きますが「破れ」はこちらの過失になってしまうのでお気をつけください。
(私は一部破いていしまい請求されました)
賃貸契約の民法改正で無くなる敷金トラブル② 壁に開けた画鋲の穴で不当な補修費用請求
国土交通省住宅局の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインによると、壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)の修繕は賃貸人の負担となっています。
これはインテリア好きとしては是非知っておいていいただ期待ポイント。
壁を飾ることでインテリアの仕上がりはグッと上がりますので無茶のない範囲で画鋲やピンは使っていただきたいところです。
賃貸契約の民法改正で無くなる敷金トラブル③ カーペットの凹みで不当な補修費用請求
家具を置いてできたカーペットの凹みに対する修繕費の負担は借主は負わなくて大丈夫です。
でも知らずに請求されたらちょっと払ってしまそうなポイントですね・・・。
賃貸契約の民法改正で無くなる敷金トラブル④ 鍵の取り替え不当な費用請求
借主が変わることで生じる鍵の取り替えは、もちろん貸主が負担するべき費用です。
鍵の取り替え費用のトラブルまでまさか発生しているとは知らず、私も驚ました。
賃貸契約の民法改正で無くなる敷金トラブル⑤ 地震で破損したガラス
地震で破損したガラスの修繕は貸主の負担になります。
災害で明記があるのは地震だけのようですね。
他の災害での破損の定義はどうなっているのかがちょっと気になるところです。
借主が修繕費を負担しなければならないケース
賃貸住宅の民法が改正したとは言え、当然借主が負担しなければならない場合はあります。
以下に3つ具体例を挙げます。
民法が改正しても敷金に影響する借主の過失① タバコのにおい・ヤニ
タバコによる壁紙の汚れ、そしてにおいが染み付いてしまっている場合は自然な汚れではないため借主の負担になります。
民法が改正しても敷金に影響する借主の過失② 壁紙の破れ
壁紙の破れも普通の生活をする中でそうそう起きるものではありません。
破いてしまったらそれは過失と認めざるを得ませんね。
私は強力な両面テープを壁に貼ってしまい、剥がす際に壁紙を破いてしまったことがあります。
両面テープの使い方にはくれぐれもお気をつけください!
民法が改正しても敷金に影響する借主の過失③ ペットによる汚損
飼育しているペットが柱や壁につけてしまう傷、そしてにおいの染み付きに対する修繕は借主の負担になります。
タバコもそうですがやはり「におい」には充分に気をつけなければいけませんね。
ガイドラインに目を通しておきましょう!
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省住宅局)
http://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
25ページの賃貸人と賃借人の修繕分担表がわかりやすいです。
改正民法はいつから施行される?
今回の改正民法が施行されるのは2020年4月1日。
ですから、基本的に4月1日以降のの賃貸契約で有効になります。
これ以前の契約では以前の民法が適用されますのでその点も押さえておくべきですね。
賃貸住宅に関わる民法改正まとめ
敷金の定義が明文化され、敷金トラブルが起こりにくい社会になる、嬉しい民法改正です。
賃貸住宅でインテリアを存分に楽しむ上でも追い風になります。
ただし、適性な敷金を返金してもらうためには、正しい知識をつけておくことも大変重要。
賃貸住宅の原状回復に関するガイドラインをよく確認し「ここまでは大丈夫」を把握しておきましょう!
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省住宅局)
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